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2013年10月16日 (水)

マカイバリ茶園訪問記 訪問を終えて【その9】 【了】

 「マカイバリ」とはチベット語で「肥沃なトウモロコシ畑」という意味です。「マカイ:トウモロコシ」、「バリ:肥沃な土地」。植民地時代に英国人がトウモロコシを栽培していたので、そう名付けられたのです。


マカイバリ茶園の歴史は1835年にさかのぼります。当時セポイの反乱で脱走してきた1人の英国人兵士が、後にマカイバリ茶園と名付けられるこの地に命からがら逃がれてきました。彼の名はサムラー大尉。ちょうどその時期は、トウモロコシが実をつけだす頃だった、と言われています。彼はそのままこの地で生活するようになりました。

1840年代になると、英国人がクルセオンとダージリンに紅茶の苗床を作り始めました。サムラー大尉はその苗木をこっそり持ち帰り、茶の木を植えました。彼が、商売の目的で植えたこの茶の木こそが、マカイバリ茶園での紅茶栽培のはじまりだと言われています。

同じ時期、後にマカイバリ茶園初代茶園主となるギリシュ・チャンドラ・バナジーは、コルカタから100マイル離れた裕福な地主の息子として暮らしていました。 しかし貧しい人を助ける弁護士になりたいという望みを家族から反対されたギリシュは、14歳でダージリンに逃げてきます。英国人司令官サムラー大尉に助けられ、得意の英語を駆使し、英国軍駐屯地のための非公式通信員として働きます。その後独立して事業をおこし成功し、その地域で一番の金持ちになったと言われています。しかし彼は簡素な生活をし、貧困者への援助をしながらも、財産を浪費することはありませんでした。 同じ地域で生活をしていた、英国人のサムラー大尉とギリシュは大変親しい間柄だったと言われています。

1850年代の後半、サムラー大尉は病の床で、若いギリシュを呼び寄せ、マカイバリ茶園の正式登記を遺贈しました。1859年のことでした。 これがマカイバリ茶園の奇跡の出発点でした。


≪初代 ギリシュ・チャンドラ・バナジー≫
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≪2代目。イギリス統治時代に、100近くある茶園は、イギリス人がオーナーでしたが、唯一マカイバリ茶園だけがインド人経営者でした。インド人の誉れでもありました。≫
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≪3代目。ラジャ・バナジー氏の父上とグル。インドの経営者は精神的支柱として宗教上のグルに帰依する人が多いそうです。≫

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≪4代目。ラジャ・バナジー氏。インド国内だけでなく世界中から数々の賞を受賞しています。茶園経営とともに、執筆活動、講演活動、もしています。≫
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ゴルカランド・ストライキの影響で、世界中から年間5000人のマカイバリ茶園訪問者がぴたりと、途絶えました。ラジャ・バナジー氏にとってストレスの多い日々でありましたが、私にとりましてはゆっくりとお話を伺ったり行動を共にすることができ、このように改めてマカイバリ茶園の奥深いいったんを皆様にお伝えすることができました。ストライキは、10月20日から無期限で再度実施予定です。

インド生活の中で今回のマカイバリ茶園訪問記を書きました。日本には日本の生活、考え方があります。日本での日々の流れの中で、茶園で感じた実感が薄れるのではないかと過去の経験から危ぐし、インド発信にしました。お付き合いいただきましてありがとうございました。


【最後に】

パーマカルチャーは「自然との調和」を理念に、ホリスティックな紅茶栽培を育むマカイバリ茶園の根本的理念とも言えます。茶園は理想的な6層で形成されています。

第1層
原生林

第2層
マカイバリ茶園に常植しているマメ科で、日陰をつくる木(ネムノキなど)

第3層
一時的に植えるマメ科で、日陰をつくる木(インディゴなど)

第4層
マメ科の果実の木(ニーム、ガテマラ、ネピアグラスなど)

第5層
紅茶

第6層
様々な種類の雑草、ツル植物、土の下の植物


≪マカイバリ茶園のパーマカルチャー茶畑。理想的な6層≫
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1971年:
バイオガスを導入

1975年:
パーマカルチャーを導入

1990年:
バイオダイナミック農法の完成
(バイオダイナミック農法による調合剤に現地薬草を代用として使用したのはマカイバリ茶園が初めて)

1997年:
World Wildlife Fund for Nature(WWF:世界保護基金)により、総合森林運営をしている茶園として紹介される。
マカイバリ茶園の所有する森で生息する2頭のトラが、WWFに登録される。

≪手摘みでの茶摘み≫
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≪ラジャ・バナジー氏、朝の事務所でのお祈り。自宅では朝6時から約1時間お祈りと瞑想とヨガをされます。≫
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≪パンディットの方(宗教をつかさどる方)からお祈りをいただきます。毎朝工場での一番最初にされます。≫
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                                  【了】

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