インド・ニューデリーからお届けしているマカイバリ紅茶のブログ。
今日は、インド好きの人には驚きのニュースをお届けいたしましょう。
"ニューデリーの野良牛を捕まえて、2000ルピーを獲得しよう!”
2005年8月5日付けの新聞紙 Times of India に大きく掲載された上記の見出し。この記事が掲載された後、ニューデリー市局へ問い合わせが殺到したそうです。2000ルピーは日本円で約5000円。中産階級から下の人たちが、一ヶ月2000ルピーの収入で家族を養っていることもありますので、目を惹くのも無理はありません。
インドでは牛が神聖視され、街中至るところに牛がいます。ニューデリーの主要道路の真ん中で、我が物顔で昼寝をしている牛だっています。そうなると、道路は大渋滞です。しかし神様と崇められている牛たちの方が一枚上手。目を吊り上げている人間たちを横目にのんきに口をモグモグさせているのですから。
ニューデリーでは、数年ほど前から野良牛排除運動を行っていました。しかしそれは、今回ほど大々的にではなく、夜中に牛を捕まえ、トラックで郊外に連れていく程度のものでした。
ではなぜ今回この時期に、2000ルピーもの懸賞金をかけて大胆な策に出たのでしょう。
一つ目は、年々激しくなる道路渋滞を緩和させるためです。確かに、牛がいなければ渋滞はもう少し緩和するでしょう。
二つ目に、牛が原因による事故が多発しているためです。牛が車にひかれたり、または凶暴化した牛が人間を襲ったり。
そして何よりも、ニューデリーの街を美化するためです。「美化」というのは、街を清潔にすると言う意味だけでなく、近代的な都市にする意味も含まれています。世界の大都市を見ても、野良牛がいる都市はありません。近代国家を目指すインドにおいて、特にその首都のニューデリーにおいて、近代とは対照的な野良牛は排除しなければならないのです。この時期にこれ程までに大胆な策に出たのは、やはり8月15日の独立記念日を意識していたのでしょう。
さて、8月5日に記事が掲載された後、2000ルピーの大金を獲得するため、ニューデリー市局のもとにたくさんの捕獲された野良牛が持ち込まれました。しかし、よくよく考えてみると、農村部や違う州から牛を連れてきて「ニューデリーの牛を捕まえました」と言うこともできるのですよね。
しかしさすがはインド政府。インドの人たちの扱いになれています。7日付けの新聞で「牛を捕獲できる者は南デリー在住であり、その証明証を提示しなくてはならない。牛を捕まえた場合は、自治会から”牛の捕獲場所”の証明証を発行してもらわなくてならない。そして、ニューデリー市局からその捕獲された牛が”野良牛”であると認められなくてはならない。懸賞金は、捕獲した牛をオークションに掛け、その配当金によって支払われる」。
2000ルピーを獲得するまでに、相当高いハードルを越えなくてはならないようです。今のところ、賞金獲得者の情報は入っていません。
それにしても、約3万頭とも言われているデリーの牛、彼らは一体どこから現れ、どのようにして生活しているのでしょう。そして懸賞金をかけた大々的な”野良牛排除作戦”の行方は? 明日をお楽しみに!
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