植民地時代からのピアノ
インド・ニューデリーからお届けしているマカイバリジャパンのインド駐在日記。
今日は久しぶりにデリーの中心街、コンノートプレースに行ってきました。
「あっ、そうだ!」と立ち寄ったのがこちら
店内には所狭しと、インドの楽器が並べられています。
でも、今日の目的はこちら
実は15年ほど前、インドでピアノを習っていた時期があり、その時お世話になったのがこちらのお店でした。当時のインドは、輸入に対してようやく鎖国を解き始めた時期でしたが、ピアノの輸入は皆無でした。
もちろん店頭に新品のピアノが並ぶことはなく、すべて中古品。輸入ができず、国内のピアノ台数は限られていますので、すべて「レンタル」での提供だったのです。
あれから15年。ピアノ業界はどうなったのかなぁ、とふと思い立ち、こちらへ足を運んだのでした。
今は、新しいピアノが手に入るのですか?
もちろんさ!
と、自慢げに見せてくれたのがドイツからの輸入品。
ブランド名は「シュタイナー」。
やけに親近感をおぼえたりして・・・。
日本からYAMAHAも輸入しているよ!
おぉぉ。YAMAHAだ。
最近は、ごく一部のインドの家庭で、子どもたちにピアノを習わせるようになったそうです。ちなみに、シュタイナーとYAMAHAは、ともに3ラックルピー。日本円で約80万円。レンタルの場合は月々約3万円だそうです。(私がレンタルしていたピアノは、月2000円でした)
ふと後ろを振り返ると
15年前に私がレンタルしていたような、古いピアノがありました。椅子に座るとヨロヨロと傾き、鍵盤をたたくと、ぼわ~んと低い音が。
あぁ、懐かしい。
私が使っていたピアノも、「ド」の鍵盤をたたくと「ラ」の音がでていたっけ。
調律師のおじいさんに直してほしい、と頼んでも、
「無理だよ。この弦はとても古いから、これ以上引っ張ったら切れてしまうんだ。そうしたら弦はインドで手に入らないから、この音は出なくなってしまうんだよ」。
そう言って、おじいさんのおじいさんの代から使っている、調律の器具を使って、慎重に弦を張っていたことを憶えています。
インドがピアノの輸入に規制をかけていた頃、国内で使われていたピアノは、イギリス人が植民地時代にヨーロッパから船で持ち込んだものだったのです。インドが独立した後、ピアノはインドの人によって大切に使われ、約100年がたった今でも、インド各地で現役で活躍しています。
インドの人は古いものを継承していく文化を大切にしています。ピアノ業界に新しい風が吹きつつも、たくさんの人に弾き継がれたピアノを、末永く愛用していってもらいたい、と思いました。
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