チャルカで糸紡ぎ
インド・ニューデリーからお届けしているマカイバリジャパンの
インド駐在日記。
私のきまぐれな趣味の一つに、”糸紡ぎ”があります。
もともとは京都で習いました。
手に伝わる振動、微妙な力加減によって細くも太くもなる糸に、
すっかり虜になってしまいました。
インドで、是非チャルカ(糸車)で糸を紡ぎたい、と
デリー中、チャルカを探し歩いたのですが、
私が求めていた車輪のようなチャルカは手に入りませんでした。
そして、ようやく手に入ったのが”携帯チャルカ”でした。
携帯チャルカ (開いた状態)
いつでも、どこでも糸が紡げます。
コンパクトなのに、必要な機能はすべて揃っていて
なかなか優秀。
このチャルカは、マハトマ・ガンディーのアシュラムで購入しました。
インドを独立へと導き、現在でもインドの人から慕われる
マハトマ・ガンディーは、平和なインド、そして世界を実現するために
人生を尽くしました。
ガンディーは、自ら糸を紡ぎ、「カーディー」と呼ばれる、
手紡ぎ綿の腰布(ドーティー)だけを巻いていました。
ドーティーは、農民や貧しい人々の装いで、
ガンディーは自らが彼らと同じ装いをすることで、
インドの貧困問題を伝えようとしていたのです。
そして、チャルカを広めることで、インド国内で売られる
産業革命によって大量生産されたイギリスの綿製品への非買運動を行い、
スワデシー運動(インド製品を買うこと)を広めることで、
自給自足のインドを目指したのでした。
右手で糸車をまわし、左手で綿の引き加減を調節します。
すべての神経を集中させないと、スルスルっと糸が切れてしまいます。
聞こえるのは、ガラガラとうなる糸車の音だけ。
糸を紡ぐ時間は、仕事のことも、日常のことも何も考えない。
とにかく良い糸を紡ぐことだけを考える。
あぁ、なんて贅沢な時間なんだ、と思うと同時に、
ガンディーが言いたかったことが、うっすらと分かったように思いました。
ガンディー・アシュラムでは、毎朝チャルカで糸を紡いでいるそうです。
糸紡ぎでの精神統一は瞑想にも似ています。
精神をコントロールすることは、自分自身をコントロールすること。
エゴから生まれる闘争や差別が少しでも消えるように、と
ガンディーはチャルカにメッセージを託したのではないかと感じました。
時間がある時に少しずつ紡いでいます。
いつか、草木染めして、マフラーを織ろうと思っています。
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後日、探していたチャルカが見つかりました。
グジャラート州の農家で使われていたチャルカ。
60年ほど前のチャルカで、アンティークです。
ガンディーの時代にも、使われていたのでしょうか。
細部にまで彫刻がしてあります。
せっかく買ったのですが、糸を紡げるまでに手を加えないといけないので、当分は眺めて楽しもうと思っています。
マカイバリ茶園アジア・日本総代理店マカイバリジャパン
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