インド・ニューデリー駐在員がお届けしているマカイバリジャパンのインド駐在ブログ。
「自然農法」の創始者であり、「粘土団子」の開拓者でもある福岡正信先生が8月16日、お亡くなりになりました。
私どもと福岡先生との出会いは、マカイバリ茶園主バナジー氏が福岡先生の熱烈な信奉者であったところから始まります。バナジー氏は先生の著書「The One-Straw Revolution(邦題:自然農法:わら一本の革命)」を読み、同じ農業を営む者として、先生の農法に感銘を受けたのです。
何度かお手紙の交換をするうちに、先生がインドNGOの招待でインドいらっしゃる際、マカイバリ茶園にも足を運んでくださることを快諾してくだいました。そして2002年9月、福岡先生と、お弟子さんの本間裕子さんがマカイバリ茶園へいらしてくださったのです。
福岡先生と茶園主バナジー氏。紅茶の苗を植樹。
今でもこの苗は、茶園の入り口で元気に育っています。
福岡先生の歓迎会では、茶園の子どもたちがダンスを披露しました。
「福岡先生のマカイバリ茶園訪問」>>>
私個人としては、先生が茶園から戻られた後、種子運動を広める、Dr. バンダナ・シヴァのインドNGO「NAVDANYA」が福岡先生を講師としてお招きした講習会に、一週間同行させて頂いたのが、先生のお話を伺うきっかけでした。
先生の講習会には、世界各国から若者が30人ほど集まりました。
先生の講義は自然農法の実践方法と理念・哲学について。
いつも半紙と筆を携え、先生が思っていらっしゃることを文字と絵で、さらさらさら、と表現されます。しかし、若者たちにとっては、少々難しく
講義が終わった後、本間さんに説明してもらいながら、解読中。
粘土団子に必要な種を集める作業。
何種類もの種を粘土で作ったボールに詰め、
無造作に蒔きます。
水も肥料も必要ない。種の詰まった粘土を土に埋めることも必要ない。
「ない、ない」づくしの「自然農法」。
発芽するも、しないも、種が決めるのだ。
粘土団子が舞い降りた地に、中に詰まっている種が適していれば発芽するし、そうでなければ発芽しない。放っておく、自然まかせにする、それが大事。
人間が植える種を決め、植える場所を決め、与える肥料を決める。
福岡先生は、私たちが持っている、農業への価値観を一掃し、
小さな粘土団子を通して、農業の主導権は「自然」が握っているのだ、と言うことを教えてくれたのだと思います。
世界各国から集まった30人の半分は、ダライ・ラマから任命を受けたチベット亡命政府の人々でした。「自然農法」によって難民の人々が他者に頼らず、生活の糧を確保できることを願い参加したのです。
福岡先生の実践は、世界中の人々に希望を与え、多くの信奉者によって受け継がれています。いついつまでも、先生が農業へ捧げた情熱の灯が消えることなく、世界中で継承されていくことを切に願います。
福岡先生のご冥福をお祈り申し上げます。
マカイバリ茶園
マカイバリジャパン 一同
マカイバリ茶園アジア・日本総代理店マカイバリジャパン